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45歳からの海外起業奮闘記 in 台湾

45歳で海外起業に挑戦 in 台灣 no:10

「四平街ママとの学習の日々」ー「仕入れ、台湾から日本へ」

「満足」という名のおばさん

 女房のおばさんは義母の妹で8人兄弟の末っ子で、「子供はもうこれで十分」ということで「満足」と名付けられたというのが、女房の実家に遊びに来た時のお決まりの笑い話の一つだったが、それが本当なのかどうかは私は知らない。そんな彼女は、子供が多すぎたのだろう、小さい頃に養子に出され、別の家で育ち、そして大きくなった綺麗な彼女は板橋というところに住むちょっとした資産家と結婚した。

 この金持ちの旦那とおばさんが一度、私達の店に遊びに来た。どこで覚えたのか知らないが、「構わない!」と「あたまコンクリ!」という日本語をこのおじさんは連発し、笑いをとろうとした。

 それから私達夫婦を駐車場に停めた車のところまで連れていき、トランクのなかに入れてあった札束を掴んで私達に見せた。その札束の厚さにも驚いたが、それよりもそんなにたくさんの現金を駐車した車の中に置きっぱなしにしたことにもっと驚いたし、何のためにこんなことをするのかも理解できなかった。

 金持ちというのはそんなものなのだろうか?

 私達の日本への仕入れに、一度このおばさんも同行したことがある。彼女にとっては観光旅行であり、私達にはいつもの必死のしごとである。そしてあっという間の1週間が過ぎ、私達の鞄にはこれでもかといわんばかりに商品を詰め込み、おばさんの鞄には自分で買った服の他にも私達のも少し入れてもらった。

 さてこの仕入れ旅行の最後の関門である台湾の税関ゲートを私達は無事くぐり抜けたのだが、なんと初めてのおばさんが一発で引っ掛かってしまったのだ。このことは、税関の人達はどんな人物に注意をしているのかを私に考えさせてくれた。

 NO :9で、四平街ママもそうであるように台湾から仕入れに来ている人たちはチームを組んで、日本での様々なハードルを乗り越えているという話をした。NO:8では私達の「税関突破作戦失敗」を書いた。

 実は私達はその前に、四平街ママの税関突破方法を聞かされて知っていたのだが、それは私達にはとても真似できるものではなかった。

 その方法というのは「税関職員買収」だったのである。この話を聞きながら「お金を差し上げますから、見逃してください。」と税関を通る時に話しかける自分を想像してみたが、とても出来るとは思えなかったし、いやそれどころか買収容疑で捕まってしまうだろうと思った。そしてNO:8の「税関突破作戦失敗」へと至る訳だが、外国で商売をやっているといろんなことを経験するものだ。

「 四平街ママと満足おばさん」

 日本からの帰り、台湾の税関をひやひやしながら通る度、どうやったら「四平街ママ」みたいに税関職員とのコネがつけられるのだろうと考えてみたが、わかるはずもなかった。ところが「満足おばさん」の事件がヒントを与えてくれた。

 二人には共通項がある。分かり易く言えば、二人とも水商売系の仕事に従事している人たちが醸し出している雰囲気に近い物を持っている。そこまでけばけばしく尖がってはいないものの、普通の人にはない”つや”のようなものがあり、「こいつら商売やってんな!」と容易に税関職員に思わせるのだと思う。

 台北県(現在は新北市)の新店というところにある、四平街ママのチームの一人の店を密かに視察しに行ったことがある。旦那さんは私とどっこいどっこいのダサいおじさんだったが、奥さんはさすがにしゅっとして四平街ママと同じ雰囲気を持った女性だった。

 つまり一般人にはない ”つやつや”の複数の女性達がゲートにやってくれば税関職員だって調べてみようという気にもなるだろう。そうやって別室に連れて行かれた四平街ママのチームは、泣き落とし?色仕掛け?いや、少なくとも電話番号は手に入れ、それをとっかかりに買収が成立したのだろうと私は推測した。

 いずれにしろ、私達には真似できないし、ぜんぜんしゅっともしておらず一般人そのものなので、女房さえ私の言うとおり、荷物を受け取ったら慌てずなるべく人の少ないゲートを選べば問題ないし、事実20年間無事だったのだ。

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つやつや!